「嫌な予感的中ー・・・」


「それって俺のこと?」


「あなた以外に誰が居るって言うのかしら?」


「いやぁ・・・おっさんとか?ってか酷くない?」


「酷くない。寧ろあなたの方が酷い事してるはずなんだけど」


「そう?」




目の前の男。


涼しそうな顔していけしゃあしゃあと・・・・


ボリスは何故か私の部屋に居て、私のベッドに寝転んで、頭を太股に乗せている。


私は寝たい。


時間帯が夜なのだから、寝ても罰が当たる所か褒美が来ても可笑しくないと思う。


人なのだから、やはり夜に寝るものだろう。


ハートの城に滞在中のアリスもそう言っていた。



ハートの城・・・・


よくあんな所で寝泊り出来るよね。


アリスって強いな・・・。


まぁ、黒ウサギの城だしね。仕方ないのかな・・・アリスもあれで結構愛しちゃってるし。


アリス曰くストーカー(黒ウサギ曰く愛が溢れすぎて納まりきらない行動)だけどね。


考えるとアリスって私より苦労してるんじゃないのか?




?」


「ん?どうした?」


「いや、急に文句言わなくなったから。もしかして、本気で怒ってる?」


「はははっ。本気で怒って欲しいんだ?」


「いや結構です」




ボリスの手が頬に伸びてきた。


猫だからなのか、ボリスの体温は私と違い少しだけ高めだ。


暖かい。


余計に眠気を誘ってしまう。




「ボリス。いい加減退いて」


「えぇー?ここで寝てもいいじゃん」


「ふざけてんのか?座って眠れと?」


「あぁそっか」




ボリスはやっとのことで頭を退けてくれた。


痺れてる気がする・・・・痛い・・・


ボリスは私の反応を見るとにやにやした。




「なぁに?痺れてるの?」


「誰のせいだ。誰の」




頭は退けてくれたけど、ベッドの上からは退こうとしない。


恨めしく睨んでやると、バツが悪そうに顔を背ける。


まったく・・・


聞こえるようにため息をついて、窓から空を見上げる。


この時間帯の時にしか見えない、月。


今回は満月のようだ。


綺麗に円を描いて、存在感を表している。




ってさ、月っぽいよな」


「・・・・それは誉めているの?」


「もちろん。誉めまくり」




いつの間にか隣に来ていたボリス。


一緒に月を眺めているのかと思いきや、突拍子のないことを言い出す。


皮肉っぽく言うけど、堪えてないようだ。




「月ってさ、たまに隠れるじゃん?」


「隠れる?」


「あー・・・隠されるの方が正しいのかな?」


「雲とかに?」


「そ」




私のほうに向き直ってボリスは人差し指を立てて、何かを提案するように言う。


一体何が言いたいのだろうと嫌でも怪訝な顔つきになってしまう。


そんなやり取りをしている間に言っていた通りに月が隠れてしまう。




「あ」




思わず声をあげるが、それも続かない。


言葉をボリスに呑まれてしまったから。




月以外の照明がないために部屋の中は真っ暗だ。






ただ私の顔を固定させるボリスの手の体温だけは、高いままだ。















月も待たず、キスをして