「鳥になれたらなぁ」
「・・・・・・・・・・・・・」
「あー、この体がもどかしいっ!」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・何かお腹減ってきたなぁ」
「・・・・・・・・何故だ」
「へ?お腹減ったのに、理由っている?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「うーん・・・・生きている限り、時間が過ぎ行く限り、お腹は減るもんだよ?」
「・・・・・・・・・・・・・違う」
「え、カリガネは違うの!?」
「・・・・・・・・・そうじゃない」
「だったら、そうだなぁ〜・・・・食べたいものが出てきたときにお腹減るとか?」
「・・・・・・・・・何故鳥になりたい」
「・・・・・・・・・・・・・・・・お腹が減る理由じゃなかったんだ」
「何故鳥になりたがる」
「だって、私には無いんだもん」
「・・・・・・・・・・・君は日向の一族ではない」
「分かってますぅー!だからじゃん」
「・・・・訳が分からない」
「だから、俗に言う"無いもの強請り"!」
「・・・・・無いから、欲しがるのか」
「そうだよ。空を自由に飛びまわれたらって、思うもん」
「・・・・俺が抱えて飛んでいるのとは違うのか?」
「カリガネが一緒に飛んでくれてるの、すっごく嬉しいけど、自分の力だけで飛びたいの」
「・・・・・・・・そうか」
「そうだよ」
「だが、君が鳥だと俺は困る」
「え?何でよー。私の夢を!」
「君が鳥だと、俺はすぐに君に会えない」
「・・・・・・・・・・」
「君まで自由に飛び回っていると、俺が君にすぐ会えなくなる」
「何という俺様・・・・」
「君はそのままで居てくれ」
「・・・・・・・カリガネが帰って来たらすぐに会えるように?」
「あぁ。それに・・・・・」
「それに?」
「・・・・・・・・・・・・・・・俺は今のままのが好きだ」
「・・・・・・・・・ひきょー。そんなこと言われたら、頷くしか出来ないじゃん」
「そうか?」
「そうだよ。ずるい」
「どうした?」
「そんなこというから、カリガネの顔見れない」
「なら、抱きしめていいのか?」
「・・・・・・・・好きにして」
「あぁ」
夕やけの草原で二人分の影は見えなかった。
「っかー!カリガネの野郎、いい思いしやがって!」
「ちょ、サザキ声大きいよ!に聞こえちゃう!」
「そういう千尋ちゃんかて大きいで?」
「んぁ?風早どうした?」
「え?あぁ・・・・・」
「・・・・・・親の気持ちなのか、兄の気持ちなのか、失恋したのか、分からないね」
「・・・・・・・・風早はんの場合、全部やない?」
「それが一番当たってるかも知れねぇな」