子離れとか、そういう次元じゃないんだ。
オレは、一方的にかもしれないけど、に依存してる。
実の娘に、依存してる。
が出て行った時から、ずっと・・・・・
オレとの関係は、市でオレがに一目ぼれしたのが始まりだった。
毎回市で見かけるに、オレは惹かれていった。
それから、告白して、付き合うようになって、結婚して。
幸せだった。
が生まれてきてくれてからは特に。
でも、が生まれて2,3年した頃、との仲は段々冷めていった。
どっちもの事は愛していたから、隠そうということになった。
表面だけを取り繕った夫婦。
との仲はもう修復不可能なほど壊れていた。
彼女はオレ以外に好きな人を見つけたらしい。
オレも彼女も別れようと、何度言おうとしたことか。
「ねぇ・・・・・もう、別れない?」
「別にオレはいいけど・・・・・」
「じゃ・・・」
「おとーさん、おかーさん。かくれておはなし?」
「! ・・・・」
「ごめんね〜。別にに隠れてお話してたんじゃないんだよ」
「ほんと〜?」
「本当だよ〜」
が居たから・・・・
オレたちは、別れずにいた。
オレはが居れば、別にはどうでもよかった。
も多分似たようなものだったんだろう。
だが、どちらもを必要としていた。
オレも、も。
を愛していた。
「出て行くわ」
「そう」
「・・・・・・・も連れて行く」
「え・・・・?」
「いいでしょう?私は、が必要なの」
「それは出来ない相談だよ」
「!? あなたに一体何の権利があるって言うの!」
「そういう君にこそ、何の権利があってを連れて行くなんて言うんだい?」
「・・・・・・・・・・どうしても駄目だって言うのね?」
「もちろん。当たり前でしょ?」
いつの間にか、オレの中心はになっていた。
が出て行ってからすぐに、源氏と平家の争いが激戦へと変化していった。
そんな中で、白龍の神子と言われる望美ちゃんにあったり、八葉に選ばれたり。
色々なことがあった。
押しつぶされそうになった時も、が居てくれたから耐えることが出来た。
また、の笑顔を見るんだ。
もう一度、の声を聞くんだ。
に触れるまで、死ぬものか。
それだけが、オレを動かした。
「ん・・・・ぁ?」
「・・・・・・」
腕の中ですやすやと眠っている愛しい存在に思わず目を細める。
さっきまでは、背中を預ける様に寝てたのに、いつの間に・・・・・
でも、オレの胸に顔を寄せてくれていることに、頬の筋肉が緩むのが手に取るように分かる。
そんな甘えた行動だけでも、こんなに嬉しい。
髪の毛を一房掬う。
指の隙間を音も無く滑り落ちる。
まるで、夢の中の光景を見ているみたいだ。
太陽の光を、そのまま反射してキラキラ輝いている。
の存在自体が、とても儚いもののように感じてしまう。
どうしてだろうか。
ちゃんとここに居るのに。
今こうして触れているのに、どうしてそんな風に思ってしまうんだろうか。
「・・・・・どうしてなんだろうね、本当に」
これだけ、依存しているオレを、君は笑うかい?
それとも、受け入れてくれる?
一番は、同じだよって、笑顔で言って欲しい。
「」
オレは眠っているの額に口付けを落として、無くならないようにしっかりと抱き締めて眠りについた。
オレは実の娘に、あり得ないくらい、依存している。
でも、それを恥じたことは一度も無い。
それは、前に対して感じたものに近いから。
琥珀色
その胸の内
(20070803)