掌の小さな住人
僕には片思いの人が居ます。
その人はとても綺麗で、強くて、笑顔が素敵で、優しくて、
好きな所はって聞かれると、多すぎて答えられません。
それくらい、僕の好きな人は素敵なんです。
その人は、零番隊っていう幻の隊の隊長で、仕事している時は恰好いいんです。
でも、本当は仕事が大嫌いで、よく僕の所に来てくれます。
それで、一緒にお茶を飲んだり、お話したり、色々してます。
そんな時、僕は彼女の中で僕が一番なんだと思うことが出来るんです。
ほら、今日だって、彼女は来てくれるんです。
「花太郎」
「さん!」
いつも窓からさんは僕に会いに来てくれます。
時々お菓子を持ってきてくれたり。
「今日のはなぁ、彼の有名な老舗「すもも」屋の、一日限定10個の最中だー!しかも10個あります」
「えぇ!?「すもも」屋って言えば、いつも行列の出来ているあのお店ですよね?しかも全部!?」
「そうだとも!花太郎喜ぶと思ってちょっと頑張って見ましたよ」
きししと本当に嬉しそうに笑うあなた。
そうやって、あなたはいつも僕の中へと入ってきてしまうんです。
僕のために、態々・・・・
あなたは分かってやってるんですか?
期待してしまうじゃないですか・・・・
してもいいんですか?
そう聞けたら、一番いいのに・・・・
「じゃぁ、僕お茶入れてきます」
「あぁ、頼むよ。花太郎の淹れる茶、おいしいんだよなぁ」
笑顔でそう言ってくれるさん。
だから、思ってしまう。
もう少し、このままでもいいかもしれないって。
さんとの、この関係を壊すのが、ただ怖いだけ。
僕に、そんな勇気ないから・・・・
あなたを失いたくな一心だった。
もう少しだけ。
そうしたら、ちゃんと聞きます。
そうしたら、ちゃんと言います。
「あなたが好きです」って。