「雪・・・」
「道理で寒い訳だわ」
私と殿は濡れ縁で庭を眺めていた。
もうすぐ立春だと言うのに、まだまだ寒い時期が続いていた。
寒がりの殿にしてみれば、嫌な季節なのだろう。
厚着をして、私の隣で手を温めている。
「殿。寒いのであれば中に入っていても・・・」
「嫌よ」
「何故・・・」
「だって、敦盛くんの側に居たいもの」
息が白いのに、鼻が赤くなっているのに、彼女は私の側に居てくれるという。
その言葉だけで、きっと今私は赤面しているかもしれない。
でも、そんなことどうでもよかった。
殿が今私の隣で、私の手を握ってくれている。
その事実だけで十分だった。
雪の中での篝火
―――――――――
維鈴柚架様へ、寒中見舞い。
2007.02.03