「〜・・・」
「あれ?ステラ。どうかしたのか?」
「なんでもないの。おきたら、いなかったから・・・」
「そっか・・・ごめんな?」
椅子に座って本を読んでいると、部屋に寝巻き姿のステラが立っていた。
俺はステラを抱き上げて再び寝室へと戻ろうとした。
だが、ステラが嫌々と首を左右へ振った。
一体どうしたのだろうか。寝るの嫌か、と問えば少し間を空けて頷く。
理由は聞かず、俺は座っていた椅子へ戻りステラの気が済むまで頭を撫でてやっていた。
俺の服を小さな手で握り締めているステラ。
エクステンデッド−連合が作り出した生きた兵器。戦闘人間。
この小さな子供がそうだというのか。
どうしてもその場面を見ていない俺は信じきることが出来なかった。
「・・・」
「どうした?もういいのか?」
「こわいの・・・」
「怖い?夢か?」
「ゆめ・・・、アウル、スティング、みんなしんじゃって、ステラだけなの・・・」
「そっか・・・そんな夢見たのか」
「・・・どんなによんでも、おめめあけてくれなくて・・・のめ、みえなくて」
どうやらステラは夢で自分一人だけが生き残るという夢を見たらしい。
それで飛び起きたら、俺が居なくて本当のことなのかと怖くなった、と。
泣いているのだろうか。
服に水が滲むような感覚を覚える。
俺はステラに顔をあげさせ、涙を−やはり泣いていた−拭ってやる。
それでも、思い出してしまうのか。いくらでもあふれ出してくる。
額にキスを一つ落とすと、俺の額を合わせた。
「ステラ、安心しな。俺はここに居るだろう?」
「うん・・・」
「アウルもスティングも。ステラの隣に寝てただろ?」
「でも、いなかった・・・」
「それはごめんな。寝付けなくて起きてたんだ」
何を思ったかステラは俺の頬をぺちっと叩いた(そこそこ痛かった)
「わるいこ」
「ごめんって・・・」
「でも」
「?」
「ちゃんとここにいるよね?」
ぎゅっとステラを抱き締める。
「あぁ、ここに居るよ。ステラの側に、ちゃんと居るよ」
「ステラ、起きなさい」
目が覚めると、そこにはネオが居た。
揺り篭の中から出て、アウルとスティングの居る部屋に行く。
寝起きの体温に、床の冷たさが気持ちよかった。
またアウルに寝坊助って言われるのかな・・・・
嫌だな・・・だって、スティングと違ってアウル、馬鹿にするんだもん・・・
でも、スティングもどこか馬鹿にしてるような気がする。
でも、二人を怒ってくれる人も、居ないんだよね。
「の嘘吐き」
「側に居るって・・・そう言ったのに」
私が持ち続けることを許された記憶。
大好きだった、今でも大好きな、あの人の記憶。
アウルも、スティングも持ってない。
ネオに消されてしまっている記憶。
大好き、。
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維鈴柚架様へ。