泥を飲み込んで ─ 溺 れ て 飲 み 込 ん だ だ け
初めて知盛が来た日から数日が過ぎた。
戦から戻った重衡はすぐにの元へと来て、何をするでもなく過ごしていた。
この男が知盛殿のしたことに気づかないはずがない。
はそう思う。
今日も今日とて重衡はこの部屋に来ての膝に頭を乗せ微睡んでいた。
しかし、完全に眠っていない。
「貴女は変わりましたね」
ほら、その証拠に話しかけてくるのだから。
「変わった・・・?」
「初めての頃に比べて、柔らかくなりましたね」
「そうでしょうか・・・・・?」
「えぇ。私がこうして、貴女の膝に頭を乗せても今のように頭を撫でてはくれなかったでしょう?」
「・・・・・・・・・・気まぐれですよ」
母が子に、想い人にするように、はゆっくりと規則正しく重衡の頭を撫でていた。